毎週火曜日12:30、英国からの新着アンティーク公開。

「・・・勘違い」・・・夫 7

<2006.6.5>

「せつさん、ほんとにここでいいの・・?」
とおそるおそるせつさんに
話しかけますが、もういません。

いつもはのんびりというか、

ぼーっとしているせつさんですが、
ひとたびじぶんの興味のあることを目の前にすると
人が変わったように動きがすばやくなります。

遠くの体育館のような建物にニンジャ走りというか、
どう見ても欽ちゃん走りで

あたりをきょろきょろうかがいながら、
いつのまにか消えてしまいました。

僕は手前の小さい建物の古びたキューピー人形やら、
どうみてもソニーのラジカセとか、

いわくありげなトランプなど、
おおよそアンティークとは似つかわしくないものが
雑然と並べてあるブースが見えて、

気がきではありません。

中に入ると、人もまばらで、活気もありません。

心配になって、せつさんに

ウォーキートーキーで連絡を入れました。
「せつさーん、どこにいますか」
すると思いっきりハイテンションになったせつさんの声が
飛び込んできました。


「はやくこっちにきてちょうだい~!」

外に出ると先ほどせつさんが消えていった建物に
たくさんの人が吸いこまれていきます。

僕もその建物に入ると、家族連れやらカップルやら
一見してディーラーの人やらで、もうたいへんです。

何百人もの人でごった返しているので、
せつさんがどこにいるかまったくわかりません。

ポーセリン、シルバー製品、農具、キッチンツールなど、
せつさんの大好きなものが

小さいストールから大きなストールまで、
これでもかというくらいに並べられています。

3周ほどしたでしょうか、
シルバーのカトラリーセットを売っている

お姉さんとせつさんが真剣に話し合っています。

僕を見つけると、いきなり「これ、どう思う!?」と
古い木箱に入ったカトラリーを差し出します。

お姉さんの説明によると1880年頃のもので、
昔から家で使っていたとのことです。

せつさんの目は完全にクリックリッしています。

よく見ると、せつさんの足元にはスーパーで使う
ガラガラのタイヤがついた

大きなバッグがすでにぱんぱんです。

そのカトラリーセットを急いで買うと、
「早くこのバッグを持って~!」と言うやいなや、
またニンジャ走り(欽ちゃん走り)で、

人ごみに消えていきました。

そうか、僕がいちばんはじめに入った建物は、
フリーマーケットになっていて、
セカンド品などを売っているところだったんですね。

もちろん、こちらのアンティークマーケットが
今日のメインイベントなわけです。

それにしても、日本人はひとりもいませんね。
さすがにこんなイギリスの田舎にまで買付けに来る
日本人ディーラーなんて、きっといないんでしょうね。

ふと目の前のストールでウェッジウッドやドルトンが
やけに安く売っている店があったので、じっくりみていると、
「ハーイ、日本からきたのかね」(英語)と
調子のいいイギリス人のおじさんMr.Kが声をかけてきました。

この人がじつは後ほどたいへんなことになるわけで・・・・。

つづく。

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