<2006.5.6>
「グッドモーニング」
眠い目をこすりながらベッドで寝返りをうっていると、
せつさんがめずらしくベッドに座っています。
はじめは真っ暗な部屋で
ぼーっと人影がみえたものですから、
ぎょっとしました。
だいたい家にいるときは、
朝ほとんど起きないのがせつさんのこだわりです。
いつも、僕が起こすのですが、
一度や二度では絶対に起きません。
あの手この手で起こすのですが、
いきなりイギリスに着いたとたんにこれですから、
僕もけっこう驚きました。
そういう僕も、なんとなく目が覚めたら体が軽いと感じたのは、
時差ぼけと緊張とやる気が複雑にからみあっていたからでしょうか。
時計を見ると、5時です。
外は真っ暗。それに寒い。
せつさんは今日、いろんなアンティークフェアをまわると
はしゃいでいるようですが、
当然、そのいろんなアンティークフェアを調べたのは僕です。
そのなかでも、いちばん大きなフェアである
クリスローという町で行われるアンティークフェアに行って、
それからマンチェスターのフェアへ、
という綿密な計画を立てました。
地図もばっちり、クルマの調子もよい、
ぶつけられたドアミラーは
ガムテープでしっかり直しました。
というわけで、少し早いけど、出発しようと外へ。
冷たい風と雨、それに真っ暗なイギリスの闇が、
僕たちを歓迎してくれました。
せつさんを見ると、
この暗い闇の中でホテルの写真を撮っています。
またしても不安が、
僕の心にじわじわと広がっていきました。
つづく
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