注:今では毎年、1月から2月にかけてイギリスに買い付けに行っていましたが(コロナ禍で3年間行けていません)、当時は会社に勤めていたので買い付けに行く日程が決まっていなくて、真夏に行ったり、秋に行ったり、様々でした。
<2006.11.06>
それにしても、「タットンパークの悪夢と幸福」というタイトルは、すごいですね。
オーメンのダミアンをなぜか思い出してしまいました。(注:古すぎてよくわからないかな)
それはさておき、よく晴れた土曜日の朝、ハイウェイを飛ばしながら、「タットンパークって、どんなところだろうねえ。」とクルマの中で幸せな会話をしていた私たち。
インターチェンジをおりて、森の中を流れるようにクルマをすべらせていくと、標識が見えてきました。
やがてたいそう立派な門があり、「Antique Fair」の看板をみつけてにっこり。
ゲートをくぐってから5分くらいは、走ったでしょうか。
いわゆるマナーハウスという、それはそれはとんでもなく広い敷地に羊やらカルガモやらリスやらが、普通に暮らしています。
やっと駐車場にクルマをとめ、歩いて会場へと向かいます。
せつさんは、ものすご~く大きなピンクの猫ちゃんバッグを肩にかついでいます。
(注:しかもお安いペラッペラのビニール製・・TT)
森の中を歩いていると、先ほどまで明るかった空がどんよりしてきました。
僕は、寒くなりそうだからと長ズボンをはいてジャケットを持ってきたのが、あとあとよかった、ということになろうとは・・・。
それにしても、どんよりと不吉な天気になりました。
せつさんは、買う気満々で巨大な猫ちゃんバッグをかついで会場へとずんずん歩いていきます。
ぼくよりかなり先に行ってしまったので、追いかけるように会場の入り口にたどりつきました。
どうもいつもと会場の雰囲気が違います。
僕たちが通いなれているアンティークフェアには、必ず歯の抜けたおじいさんがいて、意味もなく笑いかけてくるのですが、ここにはトラディショナルなスーツをびしっと決めた品のいい老紳士が難しそうな顔をして考えごとをしています。
せつさんが入り口でかっぷくのいい執事みたいな紳士となにやら話しをしています。
入場料がひとり£20には、正直おどろきました。
僕たちがいつもいくフェアは、高くても£5くらいです。
もっと驚いたのは、中に入ってからでした。
客層がまったくちがいます。
いわゆるレディス&ジェントルメンというのでしょうか、品のよさそうな人たちがひそひそと物静かに話し合っています。
音楽だって、バロックなんかがかかっちゃてますし。
いつもだと、怒鳴り声や物音、動物の鳴き声など、騒然とした中でニンジャ走りなのですが・・・・。
値段をみると、もっともっとおどろきました。
最低でも、£1000というから、22万円!!
高いものになると、£10000!!って220万円ってか。
さすがに、せつさんも固まっています。
注:ということは当時1ポンドは220円!今よりずいぶんと高かったんですね(T-T)
見るとせつさんは、いつものニンジャ走りがすっかり影をひそめています。
これって、短パンにTシャツだと入れなかったでしょうね、きっと。
ディーラーの人となるべく目を合わせないように、おどおどと会場内をさまよいました。
実はせつさんは、こういう雰囲気にとっても弱いんです。
なにやら、うわごとのように、ぶつぶついいながら、水、水・・といい続けています。
奥のほうに喫茶室があったので、のぞいてみると、これはいけません。
それはもう紳士淑女たちが上品にささやきあっているサロンといったところでしょうか。
「せつさん、ここは僕たちがくるところじゃないよね」というと、せつさんはおおきく、うんうんとうなづいて、出口のほうにさささ・・と向かいました。
外に出ると、テイクアウトのお店があったので、そこでドリンクを注文していっき飲みすると、せつさんは大きく「はぁ~っ!」とため息をついたのでした。
つづく。
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