注:今では毎年、1月から2月にかけてイギリスに買い付けに行っていましたが(コロナ禍で2年間行けていません)、当時は会社に勤めていたので、買い付けに行く日程が決まっていなくて、真夏に行ったり、秋に行ったり、様々でした。
<2006.9.4>
「に、似ている・・・。」
と、せつさんがつぶやいているとき、
僕はその年輩の女性のご主人に、もうれつに攻められていました。
「この金属は、何でできていますか?」とたずねると、
「30ポンド!!」と、大きな声を張り上げます。
「いや、そういうことではなくて、素材なんですけど・・・」というと、
「25ポンド!!!」
「いや、う~ん、それではいつごろのものですか?」と聞くと、
「20ポンド!!!!」
そう、すべての答えが、金額なんです。
僕は、その迫力にじりじりっと後ずさりながら、
でも冷静に、なんか少しづつ安くなってきているなあ、などと考えているのでした。
ここは、マンチェスターの北のほうにある
ほんとうにカントリーなアンティークフェアです。
せつさんがいうように、去年きたときは500ストールくらい出店していました。
せつさんは300とかいっていましたけど、もっとすごかったですよ。
お祭りみたいに人、人、人・・・。
それなのに、この夏は、がらがらでした。
イギリスのとくに田舎のフェアは、冬にもりあがるみたいです。
とうぜん、お店も少ないから、お客さんも少ないのね。
そんなわけで、このおじいさんも、
ぜったい僕に売ろうと決めたのでしょうね。
何を聞いても金額で答えるので、おもしろいから、
そこいらへんにあるアンティークを片っ端から聞いて見ました。
「これは銅ですか?」
「35ポンド!!」
「これは、いつの時代のものですか?」
「26ポンド!!」
「この道具はなんですか?」
「18ポンド!!」
なんだか楽しくなってきました。
(もしかしておじいさんも、僕で遊んでいるのでは。)
そんなやりとりをしていたら、せつさんがやってきて、
「なにしてんの~。。」といぶかしげに僕をワニ目でみています。
こんなかんじ。(ーー)
「まったくもう・・」とか言いながら、
せつさんはそのおじいさんからあれもこれも、
あっというまにすべて買ってしまいました。
僕がおじいさんと遊んでいたせいか、なんか、怒っています。
クルマに乗ってからもなんかへんです。
せつさんは、その年輩の女性となにやら話しこんでいて、
きっとじぶんたちの未来のことを重ね合わせていたのだと思います。
イギリスの片田舎で、40年間も夫婦でアンティークを売って
生活しているお二人のことが忘れられません。
つづく。
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